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ワイン不完全ガイド「シェルブロ」

戦わないワイン商 (株)Sheldlake代表村山による、ワインとかなんかそんな感じのブログ

『一平ちゃん夜店の焼きそば ショートケーキ味』テイスティングレビュー

  ーーー人間とは、矛盾に満ちた生物だ。

 

そんなことを、考えていた。

 

 人間社会には、常に争いが溢れている。競争、戦争、紛争、etc。

 これだけ長い間、そしてどれだけ“世界平和”が叫ばれようとも、戦争や紛争は未だ無くなる兆しさえない。

 一般社会に目を向けてもそれは変わらない。学校でも、大学でも、会社内・会社同士でも。子供の時から、そして大人になっても、競争は終わることを知らず、時にはご近所付き合いや親戚付き合いの中でさえも、妬み、憤り、争い合う。

 

 それに反するように、人間は人間同士で共生する。いや、共生しなければ生きてはいけない。そうでなければ、人類がここまでの繁栄を見ることもなかった。

「一人では生きていけない」。言語にすれば、なんと安っぽく虚しい響きだろうか。しかし、この言葉は真理だ。人間は群れ、支え合い、助け合い、生かされ生きている。

 

 人間の矛盾とは、その社会だけではない。一個一個の生命=人体もまた、矛盾に満ちている。

 塩、油、酒、etc。摂り過ぎれば自らの身体を滅ぼすと分かっていても、身体はそれらを欲し、許容量を超えて摂取してしまう。その宿主を生かすためのシステムが内蔵される人体は、結果崩壊へと向かう。

 なんという皮肉だろうか。

 

 しかし、これらの矛盾が、人間を「人間」足らしめているのではないだろうか。

 矛盾が、不完全さが、「人間らしい」のではないだろうか。

 AIでは、未だこのような矛盾を許容し「人間らしさ」の再現をすることは、叶わないだろう。

 

 人間は元来、矛盾を内包した生物なのだ。

 

 

 争うのに、共生する

 

 毒なのに、摂取する

 

 愛してるのに、憎む

 

 

 絶対 後悔するのに、買ってみる

 

 

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明星『一平ちゃん夜店の焼きそば  ショートケーキ味

 

 唐突に、且つ“ヌルリ”と本題に入ったことをお許し頂きたい。

 この行に来るまでに、目算でおよそ97%がページから離脱しているかと思う。しかし安心してほしい。「高尾山の山頂」をこの記事の終わりとするなら、中央線は日野駅を通過する辺りだ。

 

 

 この記事は、『一平ちゃん夜店の焼きそば ショートケーキ味』を体感して、どのようにして私の感情が壊れていったのか、そして今、私の身体にどのようなインフルエンスが表れているのか。細大漏らさず、そのエビデンスをマーケットに対しインタラクティブにコミットしアジェンダすることを目的としている。何を言ってるのか分からないと思うが、私にも分からない。

 より分かりやすく表現するなら、先程から間断なく襲われているこの激しい胃もたれと全身の倦怠感を忘れたいが為に、粉骨砕身の面持ちで、無心でキーボードを叩いている。

 そう、とっくに私の“骨は粉々”になり、“身は砕かれ”、“心は無く”なっている。

 

 

 さて、この時期一番のトピックスと言えば、やはりクリスマスなのだろう。

 街は色取り取りのLEDで彩られ、街路樹は枯れ葉の代わりに電飾を着飾り、クリスマスソングが降り注ぐ。素敵な夜を期待する男女の浮き足が、街を埋めていく。

 

 それに足並みを揃えるように、コンビニやケーキ屋にも“クリスマス仕様”の商品が並ぶ。主に「白」「赤」「黒」を基調に、特にデザート類が彩られる。具体的には、ホワイトチョコ、イチゴやラズベリー、ココアパウダーの類がそれである。

 

 そこへ来ての、コレである。

 

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 「なにを言っているんだろう」と、改めて見て思う。食品業界大手・明星からの魔女の定期便、悪ふざけである。

 クリスマスに浮かれちゃったのだろうか。

 浮かれポンチ過ぎはしないだろうか。

 パリピなんだろうか。

 

 ある日の静かな午後、何の気無しに立ち寄ったセ◯ンイレ◯ンでコレを見つけた。

 三度見した。手に取って、「えぇ…」という声が出た。

 

 平和な日常が、八つ墓村に一瞬で成り変わった瞬間である。

 

 

 記憶が、フラッシュバックする。

 明星の『一平ちゃん夜店の焼きそば』 と言えば、「チョコソース」と言う暴挙に出たことも記憶に新しい。

 

 

 あの、凶悪なまでの香りと味わいの記憶に、店内で『〜夜店の焼きそば ショートケーキ味』を手に取ったまま、数分間、私は立ち尽くした。

 現実に戻って、思ったことは一つ。

 

  「ショートケーキ」 って なに?

 

「キャラメル味」「ホワイトチョコ味」「イチゴ味」「ココア味」。こういったものなら理解は容易い。

 そういう意味では、『一平ちゃん夜店の焼きそば チョコソース』はまだ分かる。いや、全然分からないし分かりたくもないし思い出したら胃が痙攣を始めたが、ここは溢れる不満と胃液をぐっと飲み込んで、理解しよう。頑張って。無理矢理。

 

 しかし、今一度問う。「ショートケーキ」ってなに? 「生クリーム味」とかじゃなくて?

 

 「ショートケーキ」って、スポンジ・生クリーム・イチゴが織りなす、もう既に完成された一個のプロダクトではないのか。

 それを、同じく既に完成されたプロダクトである「焼きそば」と悪魔合体させたというのか。

 明星は、そんな合成魔獣=キメラを完成させたというのだろうか。馬鹿な。明星の技術力と浮かれポンチ力はそこまで来ていたのか。

 

「なんと恐ろしい……こんな悪魔合体…あっては…ならない………よし買おう

 これが“人間の矛盾”と言わずしてなんと言おうか。

 

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 クリスマスに浮かれた人々を手招きするような、小気味の良いデザイン。

 『ショートケーキ味』の、浮かれポンチ感満載の踊るようなフォント。

 しかし、私がまず戦慄したのは、その上に小さく書かれた一文。

 

 『彩りシュガーと 甘ずっぱ〜いちごと コロコログルト入り!』

 

 「彩りシュガー」も、「甘ずっぱ〜いイチゴ」も、「コロコログルト」も

 その全てが不穏という、稀に見ぬキャッチコピーである。どれも、全て、何一つ、「焼きそば」に合わないと確信させる呪文だ。

 

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 この絵面。既視感があるな、としばし考える。

 

 

 

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 なるほど、『西遊記』である。

 歴史上、こんなにも邪悪な三蔵法師一行がいただろうか。きっと目指す先は、天竺ではなく八つ墓村辺りだろう。

  

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 一切の感覚を遮断し、お湯を注ぐ。

 念のため、この時の私の気分を分かりやすく表現すると「かつて古の人間界を滅ぼした魔獣を再び現代に解き放つ儀式が最終局面を迎えたかのような気分」である。お分かり頂けただろうか。

 

 まずは「ソース」を開ける。恐る恐る香りを嗅いでみる。

うぉ これは

 濃厚なバニラの、甘やか〜な香り。甘ったるいくらいではあるが、意外にも、悪くはないのだ。

 しかし、横でホカホカと油の香りを放つ麺を見て、「コレに混ぜるのか」と暗澹たる気持ちになる。

 

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 甘ったるい“バニラソース”を一息にかけ、よく混ぜる。「えーと 次は“かやく”か」 とガサガサし始めた途端

 こめかみをハンマーで殴られたかのような衝撃。

 なんだこれは。私の動きは止まる。

 

  ホッカホカの麺からそそり立つ、油と、バニラの、芳醇な香り

 

 とてつもない“油バニラ臭”が、私の事務所に充満していく。ここはもう、バニラ御殿だ。

 

 クリスマスパーティの、始まりの合図である

 

 頭を一振りし、気を確かに持ち直す。「なるほど、さすがは浮かれポンチのパーティ。ご挨拶だぜ」と、“かやく”を手に取る。

 私は、この“かやく”を最も恐れていた。開封した時点から、「気を付けろ」と本能が警笛を鳴らしているのだ。

 だって

 

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 「アイスとかにパラパラと振りかけるカラフルなチョコのやつ」

 

 名称がわからないが、このアイスとかにパラパラと振りかけるカラフルなチョコのやつが存分に混じっているではないか。

 そして、なんだろう、この、インスタントみそ汁の豆腐みたいなやつは。まさかコレが、「コロコログルト」か。なんという悪夢だろう。「焼きそばとショートケーキ」という凄まじいまでのアンチノミーに既に晒されているというのに、「みそ汁の具」という新概念までが登場した。

 

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 この絵面を見て、皆様はどう自己を表現するだろうか。ちなみに、私は口からはこう表現された。

  

 「う わ ぁ …」

 

 圧倒的な絵力にたたらを踏む思いだが、ここは踏ん張って、麺に混ぜ合わせる。しかし、次に私の目が捉えたもの、それは

 

  アイスとかにパラパラと振りかけるカラフルなチョコのやつが ホッカホカの麺に 溶けていく様

 

である。

 開封したその時からここまで、精神に防御線を張ってきた私だが、ホッカホカの油麺に色取り取りのチョコが溶け合って色付いていく様を見て、消しゴムの角が折れるように、精神の一端が欠ける音がした。コロリと。コロコログルトだけに。やかましいわ。

 

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 トドメのように「マヨネーズ」の存在があるが、まずは「マヨネーズなし」でいってみるのが常道だろう。

 油とアイスとかにパラパラと振りかけるチョコのやつでテラテラと輝く麺を箸ですくい取り、恐る恐る口へと運ぶ。

 

 これは。おや。

 ほうほう。

 

 甘ったる〜いバニラの香りがキツいとはいえ、思ったよりは。私にもこういった“悪ふざけ食品”に対する耐久性ができてきたのだろうか。そんな耐久性、全然欲しくなかった。

 なんだろう、温かいデザート、例えばパンケーキとかフォンダンショコラのバニラソースがけを思わせる感覚と言えば良いのだろうか。

 決して「美味しい」とは言えないが、精神に堅牢なまでのバリアを張っていただけに、案外、肩空かしd……

 

 

 来 ま し た 

 

 コロコログルト  が  やって参りました

 

 

 ヨーグルトか。たぶんそうだ。そうなのであろう。もうどうだっていい。

 たった一粒のコロコログルトを咀嚼した瞬間、私の口から「ェイィィギニィィィイィィィ」という、およそ人語とはかけ離れた音が漏れた。

 

 なんということだろう。ヨーグルト風味のひと欠片が混ざり合った瞬間、口内に生き生きと浮上してきたのだ、甘っったるいバニラと絡み込む油麺の風味が。

 油と麺、それに絡み付く芳醇な甘〜〜いバニラ。それらを、酸味のあるヨーグルト風味が“まった〜り”と見事にまとめあげ、より高みへと誘っている。

 

 高め合っている。

 奴らは高め合っている。

 ワインの世界において、ワインと料理のマッチングのことを「マリアージュ」と表現するが、まさにこれである。なんという鮮烈な出会い。運命の邂逅。凄惨なアンサンブル。

 咀嚼しながらも、「ヲヲヲヲォォォヲヲヲォォォォオォオ」という声にならない声を出さずにはいられない。

 

 しかしその時

 めくるめく甘ったるい炎獄のユートピアが口内で再現されていたその時、一粒の何かを咀嚼したの感じた。これは、なんだ。直後、控えめに広がる酸味。

 ドライイチゴだ。

 このドライイチゴ。イチゴらしい風味もありつつキュートな酸味。またしても凄惨なマリアージュが弾けるのかと思いきや、これがなんと、“油バニラ甘ったるさ” に歯止めをかけている

 いや、ものすごく控えな、雀の涙程度の慰めではある。しかし、今の私にはこのドライイチゴが唯一のオアシスに感じられた。

 

 激辛カレーの中の、ゆで卵のように。

 高熱に苦しんでいる時、手を握っててくれる恋人のように。

 

 

 しかし、私は忘れてはならない。マヨネーズの存在を。

 ここからが、本番なのだ。

 

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 真に身の毛のよだつ絵面ではあるが、ここを通らなければ私のクリスマスは始まらないのではないか。そんな強迫観念に襲われながら、芳醇な油バニラを放つ麺にマヨネーズをしっかりと混ぜる。

 この時にはもう、私の精神は壊れていたのかもしれない。

 

 「メリーークリスマ〜〜ス」と半ば自棄になって、思い切り良く麺をすする。

 直後、鼻の穴に突っ込まれたクラッカーを鳴らされたような衝撃が私を襲った。

 

 二次会の、始まりである

 

 

 その昔、かの有名なサイヤ人の王子は言った。『はじけてまざれ』と。

 このショートケーキ焼きそばの場合、正確には「まぜてはじけろ」だが、もはやそんなことどうだって良かった。混ぜて弾けたのだ、実際に。

 どこからか遠く、「メ"ー"ー"ー"ー"ー"ー"ー"ー"ー"ー"ー"ー"ー"」という火星人の断末魔が聞こえる。発しているのは、私だった。

 

 油香る麺、甘ったるいバニラソース。包み込むコロコログルトのヨーグルト風味。

 そこへ、「マヨネーズ」という最終奏者による指揮が、三者のアンサンブルを一糸乱れぬ演奏に誘い、闇のソナタへと昇華している。

 

 これが、鎮魂歌(レクイエム)か。食品業界への、鎮魂歌だというのか。

 

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 しかもこの「マヨネーズ」、普通のマヨネーズではない。どこかバニラ風味の甘い味付けがしてある

 そんな馬鹿な。オリジナルの『夜店の焼きそば』のマヨネーズを流用するのでなく、ご大層に『ショートケーキ味』専用に開発したというのか。

「あなたのために…作ったの…///」とでも言うのか。そんな手編みのマフラー、全然いらなかった。今すぐ出直してほしい。それとも「真面目にふざけるのが大人の作法」とでも言うのだろうか。それを人は“浮かれポンチ”とか“パリピ”と呼ぶのだ。

 

 

  焼きそばなのに、デザート

  甘ったる〜いのに、焼きそば

  焼きそばなのに、芳醇なバニラ…グルト…マヨ…

 

 

 延々と繰り返されるこのアンチノミーが、なんとか平衡を保とうとする脳を完全にジャックする。

 そして、三口目くらいから既に安定の胃もたれに襲われていることも、ここに付記しておく。キメラの牙は早々に、深々と、私の胃袋に突き刺さっていた。

 

 

このパーティを続ければ、いつか私にも、サンタクロースがやってくるのだろうか。

いつか私も、このパーティの一員になれるのだろうか。

 

 

 凄惨を極めるパーティを終わらせたい一心で、私は無心で箸を進めた。

 私の精神はもうとっくに、炎獄のバニラ臭に、溶けて消えていた。

 

 パーティが終わりを迎えた、その時

 

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  君は  あの時の

 

 

 「マヨネーズ」の指揮が織りなす鎮魂歌にかき消され、その存在を亡き者とされていたドライイチゴが、寂しそうに、ぽつんと残されていた。

 

 私にはそれが、恥ずかしそうに頬を赤らめながらプレゼントを差し出す、可憐な少女に見えた。

 

 

  「メリー……クリスマス…///」

 

 

 一粒の小さなプレゼントを口に放り込む。

 

 

  「メリー…クリスマス」

 

 

 私のクリスマスは、こうして幕を閉じた。

 

 

 

 

 

……

 

 

 

  ジングルDeath

  ジングルDeath

  ジングル All the Death

 

 

 

 誤解なきよう断っておくが、私はこの『一平ちゃん夜店の焼きそば ショートケーキ味』が「マズい」と言いたいのでは決してない。

 ただ、ショートケーキはこのような悪魔の儀式に使うものでもなく、「ショートケーキ」と称されるものでもなく、独立した一個の生命なのだということは分かってほしいとは強く思っている。

 

 

 我々人間は、愛し合えるだろうか。

 いつか、戦争も争いもない、真なる平和が地球に訪れる日が来るのだろうか。その展望が今のところ望み薄であることは、ここまで読んだ奇特なあなたも感じるところだろう。

 しかし、未だ一端さえも見えぬその日に向かって、進むことは出来る。そのヒントが、きっかけが、この記事にはある。

 そう。矛盾を、愛することだ。

 

 普通の焼きそば作っていれば、それで良いのに。普通の焼きそば食べて、デザートにショートケーキ食べれば良いのに。

 

 この「一平ちゃん夜店の焼きそば ショートケーキ味」は、様々な問を我々に投げかけている。しかし、その問に答えはない。

 「ショートケーキ味?ふざけるな」と反射的に憤ってはいけない。その時点で、「愛」は遠のいていくだろう。「どうしたのかな?」「ちょっと間違っちゃったのかな?」「ちょっと浮かれポンチなのかな?」と、違った角度からの解釈を試みてみよう。 

 自分の凝り固まった思考を脱却し、矛盾ににじり寄ってみよう。

 

 矛盾こそが、“人間らしさ”のだから。

 

 

私は、二度と、食べない。

 

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株式会社シェルドレイク 代表 ムラヤマ

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